2009年5月12日火曜日

09 第4回

第1課題:動くおもちゃのしくみを説明するインフォグラフィクス(その1)

動くおもちゃのしくみを説明するインフォグラフィックスを制作する(個人制作)ことが、今回から3週にわたって実施するプロジェクトのミッションです。
条件は次の通り。
・A3用紙(縦横は作品の意図に合うものを選択、斜めは禁止)
・科学博物館に、作品のみ展示されることを想定(おもちゃの現物なしに解る表現)
・おもちゃそのものの説明は写真を用いて可。
 ただしあくまで脇役、写真に依存した作品にしないこと
・作品のタイトルを入れる(作品の見かたを規定する重要な要素です)
・作者の氏名はクレジットとして画面の中に、小さく、上品に入れること。

他の人の仕事をしっかり見よう

授業に臨む心構えについてあえて一言。

出来上がった作品だけ見て、「ふん、こんなものか」と解った気になってはいけません。ヒントはプロセスの中にある。他の人がどんな風にやっているのか興味が無いとしたら、クリエイター失格です。ある程度のレベルまでいけば、「他の人の影響を受けたくない」なんていうかっこいいセリフも通用しますが、まだピヨピヨの初心者レベルでは、自分の視野を狭めるだけです。「盗む」「かぶせる」…教室レベルでは、どんどんやってください。クラス全体が一つのプロジェクトであって、小さな小競り合いのせいで自己満足的でつまらないものしかできないよりも、全員で協力しあって全体のレベルを上げたいと私は思っています。

観察の視点

モチーフであるおもちゃの「見栄え」だけにとらわれてはいけません。「動き」という変化を伴う現象がテーマなのですから、様々な視点を想定して、対象を捉える必要があります。
対象と説明の関係を考えるヒントをいくつかあげておきます。

・最初の問い:これは何ですか?
ラフスケッチと現物のおもちゃを並べて、眺めてみてください。その説明は、おもちゃの動きの特徴を端的に表していますか?
皆さんが持ち寄ったおもちゃを眺めてみると、大きく2種類に分けられます。それは、パッと見でそれがどんなものか解るものと、解らないもの。
パッと見で解るのは、水鉄砲やチョロQ、コマなど。これらはいちいち細かく動きを説明しなくても、絵を見ればどんなモノか解ります。だから表現はその続きから始められます。その原理や面白さを表現して欲しい。
パッと見で解らないものは、まずそれが何かを説明しなければなりません。丸い球体だけど何これ?ボール?コマ?たまご?本人はじっくり観察しているから、「何も言わなくても解るでしょ?」と言いたくなるでしょうが、他の人には何のことやらさっぱり・・・という展開に陥りがちです。要注意!!

・ふたつ目の問い:どこが面白いの?
人は「自分が解りきっている」と思っている事柄には反応しません。また、存在に気づいていないものは全く見えません。表現の入り口で、「こんなの知ってる?」という投げかけが必要だと言うこと。あなたがそれを見つけない限り、作品は成立しません。
具体的な切り口として、「視点」というキーワードを投げかけておきます。

0:おもちゃの動きを説明するためには、まず「そのおもちゃは何」なのかが解らなければなりません(当たり前!?)
+1:おもちゃが動くためには、何らかの操作「インタラクション」が必要です。
+2:つまり、そのおもちゃを動かす人「ユーザ」の存在なしには語れません。
-1:おもちゃは動くための「システム(部品や動くための場所)」を持っています。
-2:おもちゃが動くための「科学的知識」が、これらを支えています。
これら-2〜+2までを行き来しながら、説明してみましょう。

・図にも言語的なルールがある
動きを説明する「図」表現にはいくつかのパターンがあります。

あなたが日常の中で目にしている説明の手法を思い起こしてください。
変化をコマ割りにして並べる方法、多重露光のように変化を重ねて示す方法、始まりから順に要素を書き足していく方法・・・。それを今回の課題作品に応用しましょう。

サービスのし過ぎかも

ヒントを出しすぎると、いまどきの学生はそれしかやらない(は言い過ぎかな)というのが悩みです。が、今年度は「私自身もすべて出し切る」という方針なので、学生からはうるさいジジイだ、と思われてもしつこくやらせていきたいと思って授業に臨んでいます。

今日のゴールは、作品の下書きまでたどりつく、ということで途中に少しづつステップアップのヒントを入れて進めてみました。
次回はコンピュータ室で、清書の作業に入ります。
一人でも多く、面白い作品表現にたどり着きますように・・・。

1 件のコメント:

  1. 去年に比べると具体的な説明が多い気がします。
    ブログの方が授業より内容が濃いかもしれませんね。

    返信削除